まず知ってほしい「給料の裏側の話」
「正社員と業務委託、どちらが得なんですか?」
経営をしていると、
特に美容業界の性質上として 本当によく聞かれる質問です。
給料の話は、
どうしても「多い・少ない」という感情に寄りがちです。
この問いが生まれる背景には、
給料の“見え方”の違いがあるように思えます。
たとえば、
月収30万円の正社員がいる場合。
社員本人が受け取る金額は、
税金や社会保険料(本人負担分)が引かれ、
手取りで約24万円前後になります。
ここまでは、
多くの人が給料明細で見ている数字です。
会社が別で負担しているもの
一方で会社は、
この30万円の給与とは別に、
社会保険料の会社負担分を支払っています。

健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険など、
法律で定められた保険料の約半分は、
会社が負担する仕組みになっています。
この会社負担分が、 おおよそ月4万円前後(10〜15%)です。
実際にかかっている金額
つまり、
会社が実際に支払っている金額は、
◎給与:30万円
◎社会保険料(会社負担分):約4万円
合計で約34万円。
一方で、
社員が実際に受け取るのは約24万円。
この差、
月に約10万円、年間で約120万円。
この金額は、
会社の利益ではなく、
正社員という雇用を維持するために 毎月必ず発生する、
制度上のコストです。
それは決して、
「儲けているから」でも
「余裕があるから」でもありません。
人が安心して働き、成長できる土台を守るため。
なぜなら、このコストには、
* 万が一のケガや病気の保障
* 引退後の将来の年金
* 失業時のセーフティネット
といった、 安心して働き続けるための仕組みが含まれています。
普段は目に見えにくいですが、
会社はこの部分を 社員一人ひとりのために負担しています。
この構造を知らないまま、
「思ったより給料が増えない」
「会社は結構払ってるつもり」
そんなすれ違いが起きてしまうことは珍しくありません。
次回の後編では、
それでも会社が「正社員」という働き方を用意する理由、
そして 業務委託という選択をどう考えているのかについて、
もう一歩踏み込んで書いていきます。
ではでは。
カトレア 内堀


